【解説】アルケミスト-夢を旅した少年| パウロ・コエーリョ|夢に挑戦するための勇気をくれる物語

はじめに

 今回は、ブラジル人作家パウロ・コエーリョの『アルケミスト 夢を旅した少年』を紹介します。

この本はフィクションでありながら、人生の本質を示唆する言葉が数多く記されています。
挑戦するきっかけや苦難の乗り越え方など、「人生の知恵」ともいえる重要な気づきを与えてくれる一冊です。本書は、以下のような方に特におすすめです。

  • 現状に迷いを感じているが、どうしたらいいかわからない方
  • 自分の夢や目標に向かって一歩を踏み出したい方
  • 新しい環境での不安を乗り越えたい方

この本の言葉が、現状を打破するきっかけになるかもしれません。ぜひ手に取って、実際に読んでみてください。

「アルケミスト 夢を旅した少年」とは

実はこの本、世界で最も読まれた本ランキングで5位にランクインしています。(ちなみに1位は聖書)

以下があらすじです。

あらすじ

スペインの羊飼いサンチャゴが、自分の「夢」を追い求め、エジプトのピラミッドに隠された宝物を探す旅に出る。旅の途中でさまざまな出会いと試練を経験しながら、彼は人生の真理と自己の成長を学ぶ。

この記事では、本書から得られる「人生の知恵」の中から特に重要なものを抜粋し、解説していきます。

本書から得られる「人生の知恵」

諦めてしまった人たち

 羊飼いの少年サンチャゴは羊たちを見て、こう思いますーー彼らは飼いならされてしまい、食べ物と水を分けてもらうことだけしか興味を持っていない。そしてあることに気が付きます。それは、「何の目標も持たず、ただ同じ毎日を繰り返している人は、飼いならされた羊と同じではないか」ということです。
 少年は自分の周囲に「自分の人生を探求すること」をあきらめてしまった人たちがいることに気が付きます。
しかし、何十年もの間、生活のために一生懸命働いてきた父親の中に、今もまだ捨てきれていない夢があること、夢を追うことをせずパン屋になった男も、まだ夢を捨てきれていないことを知ります。

そんな時、賢者「メルキゼデク」と出会い、こう言われます。

「世界最大のウソは宿命によって人生を支配されることだ」
「人は、自分の夢見ていることをいつでも実行できることに気がついていないのだよ」

父親は生き延びるために働くこと、ある男は金を稼ぐためにパン屋になることを「宿命」と感じ、夢は持っているのに向かおうとしない。自分の夢を実現することは不可能だと、彼らは思い込んでいるのです。
一方で少年は違いました。

前兆を信じて進む

 少年は、夢の中で何度もエジプトのピラミッドを見ました。この夢がピラミッドの下に隠された宝物の存在を示す前兆であると知り、宝物を探し求める旅に出るか悩みます。そんな時、賢者メルキゼデクは前兆の重要性について語ります。

「前兆に気がつくようになるのだよ。そしてそれに従っていきなさい」

一方で少年に「前兆」に気が付くこと、信じることの難しさも語ります。

「幸福の秘密とは世界のすべてのすばらしさを味わい、しかもスプーンの油のことを忘れないことだよ」

少年はこの夢を前兆ととらえ、宝物を探し求めるたびに出る決断をします。

自分の意志で選択する

 少年はエジプトへの旅に向かうために、

  • 「今まで慣れ親しんできた羊たちと暮らすか」
  • 「夢を追う旅をするか」

のどちらかを選択しなければなりませんでした。

「決断する」ことは「何かを捨てる」ということを意味しています。

そして彼は気が付きます。

「自分を縛っているのは自分自身だけだ」

夢に向かうために必要だったことは、ただ「夢に向かう」と決断することだったのです。

起きた出来事をどう捉えるか

 少年はアフリカ大陸に到達してすぐに大きな試練に直面します。深い絶望で茫然自失となった少年は、旅を続けるか、引き返すか決断しなくてはなりませんでした。その時、少年は気が付きます。

自分のことを「悲劇の被害者」と考えるか、「宝物を探し求める冒険者」と考えるかは、自分次第だ

状況は同じでも、「宝物を探し求める冒険者」と考えれば、この出来事は必要な試練となります。
起きた出来事に対してどう捉えるか、考え方次第で人生は変わることに気が付いたのです。

旅の途中にこそ輝きがある

少年は旅の途中、「本当に宝物はあるのか」、「自分にその資格はあるのか」、「旅は本当に達成できるのか」と悩みます。そして、心が傷つくことに恐れていました。人は、自分の一番大切な夢を追求するのが怖いのです。
ある時、少年は気づきます。

「夢を追求している時は、心は決して傷つかない。それは追求の一瞬一瞬が神との出会いであり、永遠との出会いだからだ。僕が真剣に自分の宝物を探している時、毎日が輝いている。本気で宝物を探している時には、僕はその途中でたくさんのものを発見した。挑戦する勇気がなかったら、決して発見することができなかったものだ」 

目標を達成することではなく、

それを求める過程こそ、喜びや輝きがあるのだと悟るのです。

おわりに

 本書には人生を楽しみ、探求するためのヒントがたくさん記されております。
 ラストシーンにはまた一つ大きな意味が暗示されているますが、それはここでは伏せておきます。
本書は人生の本質を示唆するような言葉がたくさん出てきます。しかし、読む方によってその言葉をどのように解釈するかは異なるでしょう。ぜひこの本を手に取り、「自分ならばどう解釈するか」という観点で楽しんでみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。